ゲームのお仕事をやっていると「色んな問題」が起きます。ゲームがバグったり、スタッフがクオリティの低い物を納品してきたり、プロデューサーやディレクターが急な仕様変更をしたり、会社のキャッシュが焦げ付いたり。
エンタメのお仕事というのは、どれだけ会社としてのテイをなしても、どこかではギャンブル的な乱数も絡んでくるので、一生安定して売上を維持するのが難しいジャンルだと思います。
とは言え嵐のように降り掛かってくる問題を誰も解決しないと、本当に会社が潰れかねない。となると、やっぱり誰かがそれを解決しないといけない。そんな中で、最近色んなところで言っている話をなるべく簡単にまとめておきます。
◆課題には3種類ある
1・自分の課題
2・チームの課題
3・プロジェクトの課題
ここで注意したいのは、「問題」と「課題」は違う、ということです。面白いゲームを作っていて、運営していて、売上もいい感じ、チームの雰囲気も良い、自分もとても仕事をしやすい環境だし、給料にも満足。こういった場合は「問題は起きていない」と言えますが、このゲームをもっと面白くするには?チーム力をより強固にするには?自分がもっと経験やスキルアップするには?という目線からは「常に課題がある」と見るべきです。
その上で、上記「3種類の目線」から、色々な課題を考えてみる。絶対無いわけが無いので、しつこく探してみる。そうすることで、より良いプロジェクト、チーム、自分になるための「種」を見つけることが出来るようになります。
◆課題の起承転結
1・課題
2・原因
3・解決方法
4・行動
先ずは「1・課題」に気付かないことには、何も始まりません。自分の仕事、というか「作業」に没頭しているタイプの人は、こういった課題に気付きにくい人が多いので、わりかし早期に成長が止まってしまうタイプのように思います。ともあれ思いつく限りの課題を、前述の「自分、チーム、プロジェクト」という単位で、これでもかと見つけます。
次に「2・原因」が何なのか?を探ります。原因というのは必ずしも眼前の問題ではなく、もっと連鎖した奥深くに存在する場合もありますし、一つだけではなく複数存在するケースもあります。複数の場合でも、大きいものが一つ、小さいものが五つと言ったバランスの時もあれば、中ぐらいのものが三つ、というケースもあります。としにかくここでも「原因とされるもの」を、単に一つだけ適当に見つけるのではなく、思いつく限り数を出します。
そして「3・解決方法」です。まだ不慣れな人は「どうやって解決していいか分からないよ!」と、ここで止まってしまうケースがあるのですが、本当はあんまり難しく考える必要は無く、「どういう状態が理想か?」を考えればいいだけです。
例えば
「課題→お金が無い」「解決方法→お金がある状態になる」
ぐらいシンプルで良いです。そうすれば、バイトをするのか、毎月の浪費を減らすのか、お金持ちと友達になるのか、銀行強盗をするのか、と言ったように「理想の状態」に対して、色々とアイディアが浮かぶようになるからです。当然悪いことをしてはいけませんが。
やはり解決方法についても一種類だけ考えるよりは、それこそ課題や原因以上に、たくさんの方法を考えるべきだと思います。問題が起きた時に解決が苦手な人は、自分の狭い選択肢の中からしか選ぼうとしてないから、必然的に解決の精度が低かったり、解決そのものができなかったりするわけです。瓶底メガネってやつだと思います。もし自分の脳みそでは足りないと思ったのなら、人に相談するのも手です。
最後に「4・解決」です。これも実は大きく二つに分けられます。「自分で解決できること」と「自分では解決できないこと」です。自分でできることは、例えば担当している仕事を効率化するとか。毎日必ず勉強するとか、コツコツ貯金するとか、そういったことです。自分でできないことは、チームの勤怠が悪いとか、みんなの残業が多いとか、リーダーがいつもギリギリになって仕様を変更してくるとか。
で、そういったことでも解決方法はあります。
自分のこと → すぐに行動
自分ではないこと → すぐに相談
パターンとして二つ書いていますが、僕から言わせればどちらも「行動」です。1~3までで考えたことを、4で行動に移しているに過ぎません。1~4まで、全ての要素が大事なのですが、とりわけこの「行動」は、重要性が高いと言えます。それについては次の項目で。
◆体の部品で言うと
1・課題(頭)
2・原因(頭)
3・解決方法(頭)
4・行動(体)
4つの構成という観点から見た時に、漫画の起承転結に似ているようにも見えると思います。課題という立ち上がりが合って、それを原因というディテールでより展開していき、解決方法という「現状からの転換」を考え、行動という形で「現実世界に落とす」わけです。
ただ、これには違う見方もあります。
1~3までは「頭で考えていること」であり、4は「体で行ったこと」です。要するに、どんなに1~3で優れた課題、原因、解決方法を思いついたところで、まだそれは現実世界には存在していません。何故なら「まだ、ただ考えただけの状態」だからです。それだけでは、まだ誰の目にも見えないものなので、そこで4が大事になってきます。自分を根性があるとか賢いと思っているわりにアウトプットが少ない人は、大体この1~3だけやって満足している人が多いように思います。
◆行動しない人は何も考えていないのと同じ
結局は「行動という具現化」をしない限り、それが例えどれだけ高尚な思想だろうと、無いのと一緒なんです。好きな子がいても告白しなければ、好きじゃないのと同じ。偉くなりたいと思っていても、先輩や上司に仕事を通してアピールしなければ、偉くなりたくないのと同じ。お金が欲しいと思っていても、働きたくないなら、お金が欲しくないのと同じ。何においても、最終的に行動に勝るものは無いわけです。当然1~3をすっ飛ばして4をやられても、周りは迷惑をこうむるだけなのも気付くべきです。
世の中の凄い人や偉い人というのは、1~3の組み立てが優れていることは当然ながら、特にこの4の行動が優れているから、皆さんから見ても凄い人、偉い人に見えるんです。
◆それでも苦手な人は
1・とにかく紙に書く
2・とにかく言葉に落とす
いきなりやれと言われても出来ない人は、1~3をなんとなく頭の中で考えているから、いつまで経っても4に辿り着けない場合が多い気がします。そういった時は「一体どんなことで悩んでいるのか?」を、付箋なりノートなりにどんどん「言葉として書いていけば良い」と思います。
そうするだけでも「課題は10個あった」「よくよく見てみれば大きいのは2つで、他の8つはそこまで大したこと無い」ということに気付くはずです。それが分かれば、今度はそれを前述の流れで更に紙に書いていけば、一人でブレインストーミングもできます。
紙に書くのと同時に、それは一体どういうことなのかを「言葉に落とす」も行うことが必要です。例えば「チームの雰囲気が悪い」というだけでは、全然具体的ではありません。それをもっと正体がハッキリするような言葉に落としていかなければなりません。
・勤怠が悪い人が多い
・自分のやりたい方法以外は拒否するスタッフがいる
・毎日残業でみんな目が死んでいる
・プロデューサーがワンマンで人の話を聞いてくれない
こうやって具体的な言葉にすれば、それが自ずと課題になり、そこから原因→解決方法→行動というような流れの1コマ目になると思います。
今日はめんどいのでここまで。
この双子と重婚したい。