運営

Lv.107 ゲームデザインパラドクス



レベルデザインのお話。考察込みでちょっと長め。

最近はお仕事柄、同時に色んなタイトルに携わらせてもらっています。多分10〜20ぐらいかな?

どうやってるのかって言うと、先ずは各ゲームの全体像を掴んで、ざっくりとKPIを見て、そこからプロデューサーやディレクターに質問をして、改善点や弱点を見つける。そして提案や施策提供。

傍目にはコンサルっぽく見えなくも無いけれど、当の本人は「自分もメンバーの一人」だと思って、各タイトルに関われる時間がたとえ短い時間だったとしても、集中してもっとゲームを良くしようと考えています。だって、作り手なんだからユーザーに楽しんでほしいもんね。

そんな中で、わりとどのタイトルにも共通して「不思議な矛盾」を感じることがある。

例えば「これはカードゲームです。同じカードを4枚集めて合成すると、更に強力なカードになります。」

よくあるソシャゲの構造。で、そういった中でも特に価値の高いものは有料のガチャで販売してたりする。

そういう時になんでだろう、作り手側が「ガチャで1枚ゲットしたら、あとは強化用の素材をゲームプレイで頑張って集めてください。」と言うゲーム設計にしているケースがよくある。要するに、カードを強化する方法が二つある状態。

【A】同じカードを4枚集める
【B】カードを1枚獲得し、残りは「強化用素材」を集めることで、同一のカードが無くても強化できる

設計上2つの強化ルートがあるのは何ら問題無いと思う。僕が問題に感じるのは、Aのほうで「もう1枚欲しい」と思ったら、手に入れられるようになっていない、または手に入れづらいバランスになっているケースをよく見る。

例えば1枚目を手に入れるのにガチャに三万円払ったとしよう。2枚目を手に入れたいと思った時に、人は「また追加で三万を払う」だろうか?僕なら払わない。高過ぎる。

だったら「あと五千円でもう1枚貰えます」のほうが全然欲しい気持ちになると思うし、良心的だと思う。仮に3枚目、4枚目も五千円でってことなら、合計の支払額は四万五千円。

もし「1枚三万円!絶対に値引きはしません!」って言うルールで4枚揃えようと思うと、十二万円も掛かってしまう。でもさっき言った通り、そんな馬鹿みたいな買い物はしたく無いからと、恐らく大体の人が結局三万円で止まってしまう。

【A】1枚三万円、4枚十二万円
結果→三万円以上買わない
【A"】1枚目は三万円、以降追加で五千円ずつ
結果→四万五千円

お得感があるから、A"のほうが断然欲しくなると思うのよね。一見するとA"はただの安売りにも見えるけど、結果的な売り上げはA"のんが上になる可能性が高いわけだから、売り手側にも買い手側にも意味がある。

て言うか、さっきも言ったけど「このゲームは4枚同じカードを重ねると強くなります。」が根本的なゲームルールなんだっら、その4枚を手に入れる方法がユーザーに対してしっかりと提供されているべきだし、もっと言えば本質的には「その4枚が欲しくなるように、ちゃんとゲーム設計をすべき」だと思うのよね。

こういうのを見るにつけ、「自分達で作ったゲーム設計を自分達で否定している」ような矛盾というか、アンバランスというか、いつの間にか自らの生み出した物に自分が踊らされているというか。

それだけゲーム全体のバランスを取ることは難しい、という表れなのかもしれないけどね。

酷い時はBルートの素材集めも鬼クソハードなゲームバランスだったり、すげー時間がかかるようになってたりすると、もう目も当てられない。

(๑•̀ㅂ•́)و✧

こんな感じで僕が今までに覚えてる「ミイラ取りがミイラ」的なものを箇条書きでまとめておきます。何か似たようなゲームを作ってる人たちの足しになればと。

◆4枚揃えて〜って言う設計のゲームで、ゲーム開始時に3種類の中から好きなカードを選べるのに、本編で2枚目以降を入手するすべが存在しない

◆「美少女ゲーム」って謳ってるのに、ブサイクばっかり

◆美少女が売りのゲームなのに、どの画面でも美少女キャラクターが大きく表示される場面が存在しない

◆プレイヤーステータス、キャラクターステータスがインフレすることは最初から分かってことのはずなのに、インフレに対する打開案を何年も放っておく

◆高課金者向けの商品はあるのに、少しだけ課金したい人向けの商品が何も無い

◆チュートリアル突破率、翌日継続率が悪いのに、ずっとほったらかしにしている

◆新イベント、新商品、キャンペーンをやっているのに、広告(やバナー)を目立つところに置かない

◆逆にチュートリアルやらお知らせで、やたらと長ったらしい説明をしだす

◆良かれと思って色んな機能追加しまくったら、画面がゴチャゴチャしてユーザビリティが死ぬほど悪くなる

◆何年も前のゲームバランスのまま、ほったらかしで運営を続けてしまっている(運営型のゲームは水物、生き物なので、ユーザーの成長や需要の変化がある以上は、放置してるとゲームが腐ってしまう)

◆ゲーム内の色んなところで報酬が貰える時に、なんも考えないで適当にアッチコッチに似たようなもの、同じものを配ってしまい、後から収集が付かなくなる。

うん、こういうことがよくあるんだ。いい感じで直していきましょ!

この双子に添い寝されたい。


Lv.84 サービス終了のお知らせ。



最近いろいろと未来の妄想をするのが趣味の大久保です。今日は、運営型のゲームにおいて避けては通れない件について個人的な所感をべろべろと。

まずはこちらをー。
サービス終了リスト2015上半期

一応数えてみたら271タイトル。多すぎて途中で見るのも嫌になりますね。しかも上半期でこの数字。

逆に言うと、それだけのタイトル数が世の中に出てると思えば、ある種の怖さすら感じてしまいます。個人的に思うのは、それだけのタイトル数に対して充分なプランナーであったり予算であったり、事業計画が本当にあったのかなーと。会社の偉い人が「儲かるらしいぞ、うちもやるぞ!」とか、「内容うんぬらとか細かいことはいいから、とっとと出して利益生み出せよ!」みたいな感じで、かなりいい加減にやったんだろうなーというのが正直なところです。(会社にも寄りますが)

僕もここ3~4年、パソコンのオンラインゲームも含めたら10年ぐらいソーシャルゲームのお仕事をしていて、何度か亜光速でサービス終了したものも経験しました。現場のスタッフたちにしてみたら、毎日毎日遅くまで頑張ってようやくみんなで作ったのに、まさかこんな結果になるなんて、と悲しい気持ちに苛まれるわけです。

なんつーか、ビジネスですから成功するタイトルも失敗するタイトルもあるのは分かりますけど、仮に一つのタイトルがローンチ(サービス開始)までに5~6千万かかっているとして、年間で500タイトルと考えたら、それだけで300億円という金額がドブにズバーンと捨てられている計算になります。当然サービスを開始した時点でプロモーションやら運営やらとランニングコストもかかるわけですから、実質はもっとかかっているかもしれません。(専門家じゃないので知らんけど)

ゲーム産業という観点で考えた時には年々売上高は上がっているので、まだまだ攻める企業もいるでしょうし、ビジネスなので当たったりハズしたりしながらなのは分かってるにしても、単純に「もったいないなぁ。」と思います。と言うかそんなにドブに捨てるんだったら、俺に無担保で10億貸してくれよ!!!(いつでも投資お待ちしております)

まぁそれはそれとして、そのサービス終了になってしまったタイトルって、本当に閉じるほどの物だったのか?というのも気になります。例えば毎月の売上が3千万のタイトルがあったとして、それは成功でしょうか、失敗でしょうか?個人的な答えとしては「活かしかた次第」だと思います。

当然その中にはどうしようもないぐらいのレベルの物もあるでしょうし、パズドラやモンストの売上が毎月ウン十億とか言われている世界で考えてみれば、ゴミに等しいと考える人や企業もいるかもしれません。ですが、例えば若手7人ぐらいで上手いこと回すことが出来れば、充分に利益化が可能じゃないのかなーなんて、僕は思ったりします。

「いやいや、このゲームは20人はいないと運営出来ないよ!」なんてふうに現場のスタッフ達は言うかもしれません。でも僕から言わせれば、そんなに人数をかけないと運用が回らない、売上が作れないような設計にしてしまったのだとしたら、もっと早い設計段階で気付くべきだったと思いますし、最中にプロデューサーやら上司やらは何やってたんだよと思ったりします。(それでいくらの売上をシミュレーションしていたんだろう?)

まぁ300億円なんて言われても実感のわくような数字じゃないので正直どうでもいいんですが、僕が何が嫌だって、仮に一つのタイトルに10人のスタッフが関わってたと考えたら、年間で5000人のクリエイター達が「超絶ガッカリした」ってことです。先述の通り、一生懸命頑張った努力と時間がゴミ箱行きなわけですから、損失した資金以上に、そっちの精神的ダメージのほうが会社にとっては痛手ではないでしょうか?

わりとここを軽視している会社もいるんじゃないかなと思うことがあるんです。そのガッカリしたスタッフ達が何を思っているかって言ったら、ただ単に残念だ、悔しい、と思ってるだけならまだしも。「この会社じゃダメだ。」「もっとちゃんとゲームを作れる会社に転職しよう。」なんてところまで考えが至ってしまう人だっていると思うんですよ。

そういった時に「辞めたい奴はいつでも辞めろ!」と言う態度の会社ならば、じゃあゲーム事業やめちまえとか、とっとと潰れろぐらいにしか思いませんが、「そんなー!辞められたら困るよ!」と考えている会社だったとしたら、なんでゲームというサービスに手を付ける時点で、思いつきにも似た浅はかな事業計画を立てたのかを全力で反省してほしいと思っています。

「プロジェクトが成功するのはスタッフ達みんなのおかげ」だと思いますが、「失敗するのはどこまで行っても会社のせい」なのだから。 スタッフがダメだったから失敗したゲームサービスなんて、本当は一つとして無いはずなんです。多分ね。

会社や上司の仕事っていうのは、そういった末端で頑張っているスタッフや若い子たちに「成功体験をさせてあげること」であり、「その情熱の火を絶やさないこと」だと僕は思っているので、ろくに知りもしないゲーム産業の世界に迂闊に手を出す前に、ちゃんとゲームサービスとはなんぞや?というのを経営者レベルでちゃんと勉強しろよバーカ!なんて思います。生まれたばかりの子供は大人がちゃんと責任と愛を持って育てないといけません。偉そうにごめんあそばせ~。ばぶー。

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Lv.76 アホでも分かるように。



最近は久しぶりにゲームデータをカチャカチャと作っていたりします。ちょっとだけストレス。

何がストレスかっていうと、ゲームデータの設計であったり構成であったり思想であったりが、とてつも分かりにくい作りになっています。ゲームというのはチーム仕事ですから、そういったデータであったりプログラムであったり、仕様であったりというものを、みんなでよってたかって作ります。

かと言って「元を作った人間と、それを使う人間」が同じ人とは限らないので、自分にしか分からないような設計は、本来避けるべきなんです。

でも、それが出来ないプランナーは結構多いですし、プログラマーにデータシートの設計を任せっきりにした→すげー使い辛いのが上がってきた→本人曰く「データとして流し込むのにはこれが一番良い」とか言い出す→使いやすいかどうかを決めるのはこっちだよバカヤロー、みたいなショートコントはどこでも起きています。

ほんとにタイムマシンがあったら、こんなクソみたいなデータ設計作った奴を殴りに行きたいとさえ思います。

ここからは少し僕流の考え方になってしまうのですが、「データシートの設計は、プランナーがやるべき」だと考えています。ここ、プログラマーにまかせてはいけません。作ってる最中は相談はすべきですけどね。理由はいくつかあります。

1・最終的にはそのシートを使うのはプランナーなので、「プランナーが分かりやすいかどうか。」が大事だから
2・逆に、プログラマーはデータ構造から考えてしまう人も多いので、この「ユーザビリティ」を意識せずに構成してしまう人もいるから(要するに使いにくい物を渡してくる)
3・分かりやすければ、自分以外のスタッフでも作業ができるようになるから。
4・分かりづらい=1回の作業にかかる時間が長い=コストが高いから
5・ゲームの面白さのキーパーソンはプランナーなのだから、プランナーが自由自在に使えるほうが良い

こんなところでしょうか。特に4に対する影響というのは計り知れないものがあり、おんなじようなゲームに見えるのに、裏側で働いているスタッフがAのゲームでは20人必要で、Bのゲームは7人でやっていたりします。もしもどちらのゲームも売上が同じだった場合、Aのゲームのほうが明らかに資金的にきつくなるかは、想像にたやすいと思います。

本人たちにしたって、スマートな設計にすれば30分で終わるようなものを、5時間も6時間もかけてなんてやりたくないでしょうし、それでやれ残業だ休日出社だという話にでもなってしまえば、バカじゃないの?としか言えないわけです。(設計した奴ないし、改善しようとしていない人に対してね)

例えばデータの並び順とか、一度にいじらないといけないシートの数とか、意味不明なローカル用語使わないとか、参照指定だらけのクソ重いデータ構造にしないとか、考えてみれば分かるようなことをしないようにするだけで、全然良いものになると思います。

難しいデータ構造を理解できる=偉いなんてのは幻想で、いかに「アホでも分かるような設計が出来るか?」のほうが重要ですし、そういった意識で設計ができる人のほうが、プランナーとしては数段上だと言えます。

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こういったことは何もデータシートに限った話ではありません。仕様書だったり企画書だったりも、結局は作った本人のためのものではなく、「他人が見ることで初めて価値」が出ます。ほかにもメールの文面だって、電話の対応だって、スタッフとの日々の会話だって、分かりやすいほうが良いに決まっています。

僕が本を書いた時、一個だけ気をつけていたことがあります。「アホでも読めるように。」です。たとえばゲーム業界の人なら当たり前に使っているような言葉でも、これからゲーム業界を目指す人にしたら、宇宙語なわけです。そういったことをあたかも知っていて当然のように書いてしまえば、読者からすれば価値の無いものになってしまうと思っていたからです。

そういったこともあって元々文章が得意じゃない僕は、本が完成するまでに10回は自分で読んだり、書きなおしたり、構成を直したりしましたし、共著者の岸君が書いたパートに対しても、遠慮なく「これじゃ読者分からないでしょ。」とツッコミを入れまくりました。おかげ様で、知り合いからは「あなたの文章は読みやすいね。」と言われたりして、ちょっと嬉しかったです。(最後は編集さんがキッチリ仕上げてくれたんだけどね)

要するに自分が何か物を作る時点で、「自分以外の誰かが幸せになるような設計ができるかどうか?」という意識がプランナーには必要だということです。こういったことの根源をたどっていくと、前回の「挨拶もできないプランナーはクズ」というところまで行き着くような気がします。

ユーザーを喜ばせたいなら、少なくとも目の前のスタッフを喜ばすぐらいは出来ないとダメでしょ的なお話しでした。かしこ。

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Lv.67 一人会議



なんか今日は急にPVが増えてて、時々なんなんだろうと思うクソブログです。

最近、色々な形で色々な会社さんとお仕事をさせていただいています。ある時は企画屋さん、ある時は分析屋さん、ある時は経営屋さん、その時々でやることが違うので、頭のスイッチをカチカチ切り替えていかないと混乱しがちです。

一本のゲームを作っている場合でも、ゲームの面白さやデータ作成、スケジュール管理、採用活動などと、やることは本当にいっぱいあるので、常に頭がカチカチしています。ゲームプランナーはそういった色々なことをたくさんこなさないといけない性質が強いので、切り替えが苦手な人だと苦労してしまいがちです。

カチカチする時に僕が気を付けているのは、「優先度」です。何が重要で、何が急ぎで、何が後回しでも良いのか。こういったことは、ある程度経験から慣れてくる部分もありますが、それ以上に大事だと思うことで、尚且つわりと簡単な考えだなーと思っているのがあるので一つだけ書いておこうかと。

端的に言うと、「自分より遠い順番からやる。」です。

ゲーム作りで言うと、自分がいて、チームがいて、他の部署の人がいて、取引先がいて、お客さんがいて、ようやくゲームビジネスというのは成り立ちます。自分一人でゲームが作れるのは趣味か学生までです。そうなると、たくさんのことが同時に進行しているわけで、どこかが滞れば、全体的な流れも悪くなります。

ゲームプランナーという仕事は横並びで走るというよりも、他の誰よりも「先回り」することがお仕事の一つだったりします。予算計画とか、企画書とか仕様書とか、色々。そうなると、ゲームプランナーの先回り力次第でプロジェクトの精度や製品のクオリティが大きく変わると言っても過言ではありません。

例えば
 1・俺「急いでデータを作らなければいけない。」
 2・チーム「俺くんからの資料を待っている。」
 3・別部署「俺くんからの連絡を待っている。」
 4・取引先「俺くんと打ち合わせの約束がある。」
 5・お客さん「ゲームの問い合わせをしている。返事が早く欲しい。(俺くんが担当)」


こんな感じで同時に優先度が高そうなものが飛んできたら、僕なら下から順番に進めます。要するに、「自分のことは最後」にします。 2~5は、自分が対応しないと待ちぼうけの状態になる=自分の作業をやる前に解決したほうが効率が良いからです。

時間の使い方がアレだなーというプランナーの場合、大体1を優先しがちです。その間2~5は、ずっと待っています。これが一回ならまだしも、何回も続くような場合は、かなりプロジェクトの進捗が悪い可能性があります。当然、自分一人じゃない場合は手分けをすれば良いわけですが、とは言えゲームプランナーが一人でこなさないといけない守備範囲が広いことに変わりはありません。

本当にゲームプランナーとして「面白い物を作りたい!」と心から思っているのであれば、それはチーム力が無ければ実現できないということも理解できるはずですし、そうなれば「自分は後、先ずは遠い人ほど先」というマインドセットを持つだけで、随分とゲームの完成度が変わってくるように思います。

「先回り力」と「遠い人が先力」。とっても地味ですけど、ゲーム愛をそういうとこに込めるのも大切なスキルだと思いまーす。


Lv.59 ボクと砂漠と水(レベルデザインの念仏)



クソブログも、質はともあれ結構なエントリー数になりました。以外と続くもんですね。

今日は少しだけレベルデザインのお話を自分なりに。レベルデザインっていうのはゲームにおける「ゲームバランス」であったり「難易度設定」のことを言う場合がほとんどです。敵の強さだったり、弾の数だったり、複雑さだったり。

ほんで、コンシューマに限らずスマホのソーシャルゲームなんかでも、当然ながらレベルデザインというのは行っています。例えばプレイコストだったりイベントランキングの報酬内容だったり閾値だったり、ガチャの排出率なんかもそうですね。で、むしろソーシャルゲームのほうが「レベルデザイン=売上」に直結するようなもんだから、いい加減なことはできないという点で、現代のゲームプランナーの中でも必須スキル化しているようなところもあります。 

まだ業界の経験が無いかたなら良いですが、現役で「ちょっと数字は苦手で…」と言ってるような人は、結構どこかで真剣に勉強しないといけないと思います。僕はソシャゲが流行る前のPCオンラインゲームが人気だったころにそこらへんは上司に嫌ってほど叩き込まれたので、わりと昨今のお仕事はやりやすいかなぁと思っていたりします。

前置きはこれぐらいとして、レベルデザインにおける「イケてる状態、イケてない状態」というのはどんな感じでしょうか?ゲームバランスというものは正解があるようで無いようであるようで、と言っためんどくさい性質の物なので、マニュアルらしいものが作りにくいというのが難点です。

例えばアクションゲームがステージを進めていくうちに、どんどん難しくなるのは想像がつきやすいと思います。RPGなんかでも、後から出てくる敵のほうが強力ですよね。でも、「それだけ」でしょうか?単純にステージや敵が強くなっていくだけなら、変な話新人でもできちゃいそうな気がしますよね?でもなんか、そんなんでもないっぽいんですよね。 多少の抑揚は必要でしょう。そこらへんも自著ではわりと簡単にですが書きました。 でも、やっぱりそれでもまだ足りないんですよね。なんなんでしょうね。

ソーシャルゲームなんかでは、ぶっちゃけユーザーに対して「どうやって喉が乾いた状態を生み出すか?」というのが主眼になっていたりします。例えばガチャで可愛いキャラクターが登場して、「この娘欲しい!→でもガチャだと出ないかもな…今月お金が…→え、初回半額?→しかもオマケもついてる?→その上今ならゲット率xx倍!?!?→だけど本日限り!!?!?!?!」というように、欲しいけど届かないけど届きそうだけど欲しいけど、という状況をいかに作るかに対してアレコレ小細工を考えていたりします。

あと、こうやって「複数の判断材料をポイポイ投げる」ことで、判断力を鈍らせるというのも、ソーシャルゲーム全盛の頃から脈々と続いているように思います。「射幸心を煽り」とかっていうアレですね。特にこれはゲームに限ったことではなく、「今ならポイントxx倍!」とか「長期契約なら月額料金割引!」とか、色んな商売でもやってますよね。深夜の通販番組とかね。携帯電話の料金設定、あんなに無意味に複雑なもの、一体誰が得するんでしょうか。(胴元でしょうけど

で、良いか悪いかは別として、レベルデザインにおいてもこの「喉が乾いた状態」という意識を知っているかどうかで、最後の出来栄えがずいぶん変わってくるように思います。アクションゲームなんかでも「あれ、ジャンプしてもこの段差届かない→どうやったら登れるんだろう?」という状況があったりしますよね。それがいわゆる「喉が乾いた状態」です。それに対して、「あ、あんなところに木箱がある→(アレをここまで持ってこれたら、登ることができるかも?)」という状態が「水が飲めるかもしれない状態」になります。

木箱を運ぶ方法をすでに学んでいるのであれば、「確定で水が飲める状態」ということになりますし、まだ方法を知らないのであれば、「新たに喉が渇いた状態」だということになります。で、木箱を運んで段差を登れた。ここが「喉が潤った状態」ですね。ゲームでいうところの達成感であったり、気持ち良いポイントになったりします。こうやって屁理屈で並べていけば、レベルデザインそのものはそんなに難しくはないように感じるんじゃないかな?と思います。

ただ、上述のようなことを考える「そもそも」のこととして、「なんで段差を登らせだかったの?」という部分がすっぽ抜けていたら、まったく意味がありません。段差の上には何があるでしょうか?便利アイテムが置いてあるかもしれないし、広大な景色が広がっているかもしれないし、可愛い女の子が立っているかもしれません。もしかしたら何も置いてないかもしれない。で、そこに辿りつけたプレイヤーは「一体どんな気分」になるでしょうか?もっと言えば、そこに辿り着くまでのプロセスにおいても、「どんな気分だった」でしょうか。

ここが僕的には「レベルデザインの本質」だと思っています。 レベルデザインというのは、前述のような数値設定や敵の配置、複雑な要素で判断力を鈍らせるというのは、あくまで小手先のことであって、本来のレベルデザインというのは「ユーザーの心のデザイン」だと考えます。

「ここで学習してもらおう」
「ここでビックリさせよう」
「ここで悔しい思いを一回させておこう」
「ここで達成感を盛大に祝おう」


と言うように、何かしら作り手が仕掛けた物に対しては、この「どう思わせたいか?=心のデザイン」が先にできていなければ、それ以外の小細工は全て役に立ちません。 逆にそこさえちゃんと抑えていれば、その心のデザインに対して、色んな方法やアイディアが浮かぶ場面が多くなります。

実はこのレベルデザインというのは、ゲームプランナーのレベルデザインだけに限らず、ディレクターがチームビルドをする時や、プロデューサーがどんなプロモーションを打つかを考える時にも、とても役立ちます。もう少し端的に言えば、「自分が他人の心を動かす瞬間を考える。」というのがレベルデザインの本質だと思っています。

エクセルカチャカチャしてるだけでレベルデザインやれてると思い込んでいるような人は、もう少し広い視野でここらへんを突き詰めると良いような気がします。先ずは隣に座ってる人を一日三回でも笑わせることができれば、レベルデザインはそんなに難しいことではないような気がします。かしこ。~( :3 )<ネムーィ

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Lv.57 初期設計の憂鬱。



世の中には似たようなゲームがたくさんあります。

スマホのゲームでも、パズドラのパズの部分だけを変えたようなものもたくさんありますし、カード系のソーシャルゲームなんかは全部これ一緒じゃんみたいなものが数えきれないぐらいあります。

ユーザー目線から見ればそうですが、内部的な設計、プログラミングであったりデータ構成などは全然違います。作っている人が違うからということもありますし、作った人のスキルや納期、元となる企画、仕様などの精度によって、内部的な作り方は大きく変わってしまいます。

最終的な触り心地やクオリティが同じであれば、ユーザーにとってはなんら変わらないのですが、運営型のゲームなどの場合、中の人的には色々と変わってきます。

例えばゲームの中に新しいキャラクターを追加したいと思った時に、 Aのゲームでは3ステップで追加できるのに対し、Bのゲームでは10ステップかかるとします。そうなると、当然ながら一つの手続きにかかる時間はBのほうが圧倒的に手間がかかることになります。

キャラクターを1人追加するだけならまだ良いのですが、これが月に20体30体追加するとなると、わけが変わってきます。そしてキャラクター以外にもイベントデータ、ショップデータ、テキストデータなどの様々なものを毎日毎日追加しようと思うと、この「初期設計のショボさ」が大きいダメージになってきます。

端的に言えば、似たようなゲームなのに、Aのゲームで運営スタッフが7人いれば良いところが、Bのゲームでは20人いないと全ての要素をこなせない、といったようなことになります。例えば会社が一人を雇うのに60万円かかるとしたら、Aのゲームでは毎月420万円の人件費、Bでは1200万円。800万円近い金額が「無駄に捨てられている」ということになります。一年で換算したら一億円近いお金をドブに捨てているのと同じことになります。

こうなってしまう原因は前述の初期段階での設計がショボかったり、実際にそれを作る担当の実力がイマイチだったりすることで起きてしまうケースが殆どですが、そういった「未来の負債」を最初から想定して作れる人ばかりではないのも事実です。しかも、一度ポンコツな設計で作ってしまったゲームを、後から綺麗に修正することは、事実上不可能なわけです。要するに、そのクソ設計のままそのゲームを運営し続けなければいけません。クリエイターにとっても、会社にとっても、ユーザーにとっても良くないことです。

どうやったらスマートな設計を考えられるか、低いコストで高いパフォーマンスのゲーム運営が出来るか、と言われれば、ある程度たくさんのゲームを作ってきた人が「ゲームの面白さと、運営イメージの両側面から設計出来るかどうか。」ということになってしまうと思います。目に見えにくいところではありますが、経験に基づく部分が大きい箇所であると言えます。

今のゲーム業界の状況的には、最初からゲームのお仕事をしていたわけでもない人も増えていますし、同じぐらいのキャリアだったとしても、ゲームのどの部分を重要視しているか、もっと言えばディレクターやプランナーの性格などによっても 設計や最終的な出来が変わってきます。

僕自身は何度も似たようなことをやっているので、「これが一番効率的で、開発も先々の運営もしやすい設計。」というある程度の自負がありますが、 そこに注視せずにゲームの開発を初めてしまうのはとても危険だということを認識していないプランナーも少なくありません。

すごく端的に言うと、「なんでこんなクソみたいな初期設計にしたんだよ。」とか「なんで1つのことをやるだけなのに、こんなに分かりづらくて複雑なプロセスなんだよ。」みたいな、裏側の設計がイケてないゲームを見てしまうと、物凄い悲しくなる、というか悶絶腹が立つというお話しでした。

これからゲームクリエイターを目指すみなさんには、面白さも大切ですが、「美しい内部設計」もぜひ意識してもらえたらなーと勝手に思っていまーす。~( :3 ) <ピニャコラターンッ

Lv.55 ガチゲーマーとKPIと私



最近は昨日のことも忘れる勢いで、もはや以前も書いたんじゃねーか的なネタをまたやってる疑惑が。

今日はあんまり楽しくない、KPI(重要業績評価指標)について自分なりに適当に。以前からブログでもちょくちょく書いている通り、スマホの課金型ゲームをお仕事にする場合、何度となく「KPI」という言葉を職場で聞かされます。端的に言えばゲームの毎月の売上であったり、それを達成するための間接値(チュートリアル突破率とか継続率とかARPPUとか)のことを、まるっとKPIと言う場合が多いと思います。

最近の僕は色々なゲームのKPI値を分析して、より数字が上がるような施策を考えたり提案したりというお仕事もしていたりします。以前も書いたように、新人でもKPIという言葉を叩き込まれるような雰囲気がここ数年では当たり前となっているので、良い意味ではゲーム業界にも数字に対する理解のある人が増えているかなぁと思います。その反面「数字を知った気になっているだけの人。」「やっぱり数字が苦手な人。」も如実に浮かび上がっているとも言えます。 

僕も若い頃に上司に数字を叩きこまれた際に、当時はその本質を全然理解していませんでした。10万人のユーザーがいます。そのうち10%が課金しています。一人あたりの月平均単価は5千円です。今月の売上はいくらでしょうか?まぁ、5千万円ですよね。そんなの小学生でも分かりますよね。そこから人件費だの広告費だのキャリア決済だのを引いていくと、利益が残って利益率何%みたいな。

でも、↑ぐらいのことだったら1日もあれば覚えられるので、それ自体はあんまり意味が無いです。もう少し丁寧に言うと、「眼前に結果として出ている数字を読むだけ。」だったら誰でも出来るので、それだけでは無意味だと言うことです。たまーにそういうポンコツプロデューサーを見かけます。

KPIという言葉も便利なんだか不便なんだかいい加減なもので、人に寄って受け止め方が違います。

・絶対に達成しなければいけない数値指標
・↑で見たような結果速報値だと思っている人
・他タイトルと比較して、相対的にイケてるかイケてないかを推し量るための数字

当然上述のような要素も含んではいますが、どれも本質ではないと個人的には考えます。というのも、お仕事にしている場合は数字を結果として見るのではなく、「作る」必要があるからです。例えば、今からつくるゲームで毎月1億円の売上を立ててください、というミッションがあったとします。ここは会社からのお達しなので、クリエイターが勝手に変えることは出来ない、絶対的なルールとして決められます。

そうなると次に、「どうやって1億円を稼ぐか?」ということを考えなければいけません。上述のようなスマホの課金型ゲームであれば、「何人からいくらずつ貰って、合計1億円にするか?」という考え方になります。最後の帳尻さえ合えば、1千万円ずつを10人からでも、10円ずつを1千万人からでも、OKということになります。とは言え、ゲームの中で何を売れば、その数字が達成できるかは、いずれにせよ難しいことだと思います。

まだあまりそういった数字に触れたことの無い人にしてみたら、一人からいくら貰えるかを考えなさいと言われても、分からないと思います。かと言って「アイテムは多分100円ぐらいでー。ガチャは1回500円でー。」とテキトーにやったところで、それでは売上の見込みが立ちにくい、というよりか、上司に根拠を求められた時に、まともな返答が出来ないかと思います。

どうすればそこらへんの数値の感覚が身につくか?と聞かれたら、個人的な経験上では残念ながらたくさんのサンプルを見るしか無いのかなと思います。僕は多分20~30本ぐらいのゲームの数字を見てきたので、こういう場合はこう、昔はこうだったけど、今はこう、みたいなのがようやく「ただなんとなくあるだけ。」の状態です。そういう意味ではソーシャルゲームを1~2本しか運営していない会社の場合、サンプル量が足りないで結果的に苦労される場合も多いかと思います。

いずれにしても、一応覚えておいて損は無いのと、今後ゲーム業界でゲームプランナーをやる場合に、「このKPIを伸ばすためには、こういうゲームシステムを入れましょう!」みたいなシチュエーションが本当に多いと思うので、順を追って身に付けるといいと思いますよ!順番で言うとこんな感じでしょうか。

1・知る / 先ずは何も知らないと思うので単語なり意味を覚える。ついでに言うと苦手意識をここで捨てちゃう
2・覚える / それぞれがどういう因果関係で、ユーザーの動向と連動しているかを理解する
3・試す / 新しいシステムなり、ゲームバランスなりを調整してみて、数字がどう動くかを体感する
4・考える / 伸ばしたいKPIに対し、どんな施策を打てば上がるかをゲームデザインとして考える
5・作る /  自分が狙った通りのKPI値を作れるような全体的なゲームデザインを設計する
6・忘れる / 1~5が当たり前にできるようになったら、意識せずに勝手にイメージできるようになる


こんな感じでしょうか。最近ではガンホーの森下さんやモンストの岡本さんが「KPIは意識しません」とか言っていますが、アレは半分ウソで半分本当だと思います。上述の1~5を経ていると、一々細かい数字なんか見ずに、「単純に ”面白い”にだけ注力していれば、勝手に数字は上がる」という理屈から、そう仰っているんだと思います。

で、数字を当たり前にやるようになっても、絶対に分からないことがあります。簡単に言うと「実際にそのゲームを遊んでみないと、数字の意味が完璧には分からない。」という点です。 先ほども述べたように、僕は色んなゲームの色んな数字を見ます。過去の各種KPI値がダーッと並んだエクセルとかを見るわけです。でも、それを見ただけではどんなゲームかとか、ユーザーさんがどこに熱中しているゲームかなんて分かるわけがありません。せいぜい「チュートリアル突破率がゴミだな!」とか「ARPPUが悶絶アレだな!」とか、他コンテンツとの比較値が認識できる程度です。そういう場合もやっぱり「原因となっている事象」については、ゲームそのものを遊んでみないことには究明できません。

なので、数字分析というと頭良さそう、つまらなそう、地味そうみたいな色んなイメージがあるかと思いますが、僕の場合は「一回本気でそのゲームをめちゃくちゃ遊ぶ」ようにしています。もうユーザーに入り混じってガチ課金して、ランキング上位常連とか目指します。以前、自分が担当していたゲームでランキングイベントの一位を取ってしまったこともあります(ほんとはダメ)。その時は寝ている時間以外はひたすら画面を叩いていました。そうやって一回ガチでゲームを遊ぶことで、数値とゲームプレイの両側面から、ようやく色々なヒントや答えが浮かび上がってきます。

今のゲーム業界、意外とこれやらない人が多い。仕事で忙しいのかゲームが元々好きじゃないのか、エクセルいじるのが好きなのか知りませんが。いずれにしても自分がやっているサービスを自分自身が熱中して遊べていない時点で、数字についても中途半端にしか理解していない可能性が高い=ユーザーのことも全然見てない=KPI改善や売上の計画も立てられない、となります。(ゲームが好きじゃないならとっととやめちまぇ!)

ものすごい長くなってしまいましたが、「数字を勉強するなら、同じかそれ以上にゲームも本気で遊ぼう。」というお話しでした。またねー!(・ω<)bドュクシーッ

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Lv.44 俺的カードゲーム考察



今回はソーシャルゲームでも一代ジャンルとなったカードゲームについて、自分なりの考察をしたいと思います。どういうところが面白いかとかは人それぞれなので、「運営する側」としての色々をお話できればと。少し長いかもです。

「神撃のバハムート」に代表する、いわゆるブラウザタイプのカードゲーム。今となってはかなり古いタイプのゲームですが、設計そのものはほぼ完成されているとも言えますし、今でも一定以上の需要があるため、ブラウザゲームに限らず、ネイティブアプリでも売上げランキング上位にいるようなタイトルもあります。

カードゲームを運営している会社さんやチームのみなさんは、大体おんなじような事を考えながら、おんなじような事を悩みながら日々運用してると思います。カードを商材として売上を作るわけですから、毎日毎日何かしら大変だと思います。

「カードを売る」という事だけに限定して考えた時、どういったことがウリになるでしょうか?↓のようなことがほとんどだと思います。

1・レアリティが高い(基本ステータスが高い)
2・強い(スキルや属性など)
3・ゲームプレイに有利(攻撃特効、イベントポイント特効など)
4・限定である(期間限定、イベント限定、コラボ商品など)
5・クオリティが高い(可愛い、かっこいい) 
6・ステータス以外の魅力がある(ボイス付きなど)


カード自体の魅力は大体上記に収まるのかなぁと思います。これに更なる購買意欲を高める要素として「今なら24時間限定でゲット率アップ!」とか「◯回ガチャを回せば確定ゲット!」とか「初回だけ100円でプレイ!」みたいな小細工を色々とやっている感じですよね。

で、1~4のようなステータス系は運営期間が長ければ長いほど、ジレンマに囚われるようになってしまいます。新しいカードが出るたびに、ステータスやスキルをどんどん強くしていかないと売れなくなってしまうからです。かといって無尽蔵に強くしていれば、いつかは天井が来てしまうため(ほんとは来ないんだけど)、回避策として「更なる上位レアリティ」の登場などといった施策をしていると思います。でも大体そういう時ってお得意さんが逃げてしまいますよね。だってせっかく頑張って育てたカードが一瞬にしてゴミ扱いなんですから。

まぁここはここでゲーム性に関わるところですから、ある意味計画的にインフレをさせるのは良いとして、問題になってくるのは「火力ゲー」という軸だけで運営をしていると、施策の幅が狭くなってしまうことなのかなと思います。 そこで5とか6みたいな「別の軸」が必要になってきます。

カードゲームにもRPG風な物もあれば、「GF(仮)」のような美少女ゲーもあります。美少女ゲーの場合はスキームベースでは火力ゲーと同じですが、ユーザーの本質的な目的は「この娘が欲しい」になります。それに加えてキャラクターの名前やバックボーンが作りこまれていれば、「愛着や好み」という感情が生まれます。そうなると、決して火力が強いから、レアリティが高いから売れるわけではないという新たな価値が生まれます。

以前、美少女ゲーを運営していた際に、ユーザーさんからこんな問い合わせがありました。

「わたしは◯◯ちゃんが大好きです!でもレアリティが低いから、育てても弱いのでゲームで使うことができません。どんなに時間がかかってもいいから、愛情をかけた分だけ強くなるようなシステムを作ってください!」という内容でした。

運営都合で言えばおいそれと言葉ままの対応をするわけにはいかない様々な事情がありますが、ユーザーさんの声そのものの意味はとても伝わってきたことを覚えています。

例えば今それを実現するとしたら、時間をかけて強くなる、という点だけでは結局火力ゲーの道をそのままたどってしまうことになるので、先述の「愛着や好み」という点をもっと魅力的にしていけるような仕組みを考えられたら良いな、と思います。

例えば一緒にバトルを戦った数を裏でカウントしていって、10回、30回、60回、100回と一定数達成するたびに、そのキャラクターが新しいセリフや表情を見せてくれたら、嬉しいと思います。それを延々と向こう側まで引っ張って、例えば1キャラクターに全100種類のセリフ、というかシチュエーションがあったらどうでしょうか?

カードの火力が強くなるのとは別に、「その娘をもっと知りたい。頑張った分だけ色んな表情を見せてくれる。」と言ったゲーム体験ができるようになると思います。言っても商売の部分もありますから、だんだん育てるのがきつくなってきて、それを楽するためのアイテムを販売するなどということはあるかと思いますが、ユーザーの本質的な目的が「火力=勝負に勝つ」ではなくなっているため、 新しい軸での魅力として展開できると思います。

それに加えてAちゃん、Bちゃん、Cちゃんというような単体での魅力だけではなく、AちゃんとBちゃんは仲が良いとか、CちゃんとDちゃんはいつもケンカしているとか、相対的な人物関係をゲームの中に盛り込むことができれば、より魅力が立体的になるのかなと思います。

とりあえずカードゲームを運営している会社さんやチームで「あぁ、うちのゲームには看板キャラがいないな。」とか「運営側にもユーザー側にも共通の人気キャラっていないよな。」と思っている場合は、ここらへんの世界観構築と、本当の意味でのキャラクター育成をするのはどうかなーと思っています。

そうすればユーザーさんにも新たな体験や価値を提供できると思いまーす。要するに運営が自信を持ってユーザーさんの前に出せる「神セブン」を作ろうというお話でした。かしこ。

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Lv.30 ストーリーを考える。



凝りもせずにしつこく更新。

今日はゲームを作る上で重要になる、ストーリーについて少し。しかしいわゆるRPGなんかのストーリーではなく、「ユーザーストーリー」についてです。例えばスマホのソーシャルゲームなんかをやっていると、お客さんに喜んでほしいというのは当たり前として、「どうやってお客さんに喜んでもらうか?」ということが重要になります。

ゲームをダウンロードして、起動して、タイトル画面が出て、チュートリアルがあって、本編があって。ユーザーはゲームを順番に遊んでいきます。そうなると、初めてのゲームだった場合「ん、これは一体なんだろう?」とか、「これはどういう意味があるんだろう?」とか、色々と”カベ”にぶつかるわけです。それが「良いカベ」だったらいいんですが「悪いカベ」もいっぱいあるわけです。ゲームのルールが難しいとか、UI(ユーザーインターフェイス)が不親切とか、課金しないと全然楽しめないようになってる、とか。

で、さっきの「どうやって喜んでもらうか?」という考えから見れば、意味も無いところでユーザーにストレスを感じてもらいたくはないわけです。そういった良くない部分は”KPI”という形で数字の情報として必ず現れます。例えばチュートリアルが不親切だったり、ゲームの面白さが十分に伝わらなければ、「チュートリアル突破率」というKPIの値が悪い数値として出ます。ゲームを開始した人が100人で、チュートリアルを突破した人が10人だったら、多分そのゲームはイケてないことになります。仮にその先にどんな面白い要素が待っていたとしても。

で、運営型のゲームを作っていると、そういったことが他のシーンでも何回も訪れるわけです。そんな時に僕はそれを「ユーザー帯」に分けて考えます。例えば今日1万人のユーザーが遊んでいたとしても、全員同じ遊び方はしていないわけです。まだ今日始めたばかりの人もいれば、何ヶ月も熱中している人もいるわけですから。僕はそれを大体ざっくりと↓のように一回分けます。

1・初心者…ほんとに今日始めたばっかの人。ルールも魅力もまだ分かってない。
2・初級者…ゲームの遊び方や大まかな世界観は理解した人。でもまだ面白いかは人によって違う。
3・中級者…ゲームを楽しいと感じてくれた人。課金するかしないかはまだ判断しかねる。
4・上級者A…ゲームに魅力を感じ、少しなら課金もして良いと考えている人。
5・上級者B…ゲームに魅力を感じ、定期的に課金もして良いと考えている人。
6・上級者C…ゲームに魅力を感じ、かなり課金して、ゲーム全体を楽しみたい人。
7・上級者D…ゲームに魅力を感じて長期的に楽しんではいるが、課金はしない人。


上記だけでも7つのグループに分かれます。同じ日に1~7に該当する人たちがたくさんゲームをプレイしていたとして、それぞれが違う目的で遊んでいるわけです。目的がある、ということは、その目的の達成に向けて遊んでいる。逆を言えば、目的が達成できない、または目的が無い場合は遊ばないわけです。

目的の達成うんぬんについては、「レベルデザイン」という形で、簡単には手が届かない、でも不条理ではないぐらいの絶妙なバランスを提供することで、ユーザーはそれを「やりがい」や「手応え」として体験してくれるわけですが、「目的が無い」は、かなりマズイわけです。

端的に言えば「大魔王を倒してしまった世界」だったら、もうそのRPGを遊ぶ理由は無いはずです。それに近いような感覚がソーシャルゲームにおいても実はあるんですね、「ユーザーそれぞれ」に。それではダメなので、作り手としては「次のストーリー」をちゃんと用意しなければならない。しかも一種類ではなくて、前述の1~7に該当するすべてのユーザー達に向けてです。

ゲームを運営していると、「もうそろそろ次の上位レアリティでも作ろうか?」なんて話が出ます。しかし、そのアイディアはさっきの1~7の全員が楽しいものでしょうか?違いますね。上位レアリティ=上級者向けです。しかも課金前提だとしたら、6のガチ課金者向けの施策ということになります。それ自体は売り上げを作るための計画の一旦なので否定することはありませんが、1~6に至るまでの流れの中で途中にブツッと物語が切れている部分があったとしたら、その効果は半減します。

要するに、前述の1~6に至るまでには、ユーザーがゲームに魅力を感じてくれて、もっと遊びたい、ずっと遊びたいと思うための「心のストーリー導線」が必要になるわけです。それをすっ飛ばして奥座敷を綺羅びやかにしたところで、ユーザーのほとんどはその部屋があること自体知らずに、その建物を出てしまうわけです。

とかくゲームを作る側がハマりやすい点として、「個人のプレイスタイルだけで物を考えがち」「物事を”要素”で捉えがち」というのがあります。この二つの考えで物を作ると視野が狭くなり、実際はユーザーがぜんぜん求めていないようなものを提供してしまうことにもなりかねません。

そんなことにならないように気をつけたいのは、「ユーザー一人一人 (1~7)のストーリーをちゃんと考えて、ゲーム内容や、UI、レベルデザインなどの全ての要素は、それに合わせた形で作るようにする。」ということです。これが出来ないと今どきのゲームプランナーとしてはイマイチなのかもしれません。ていうか、昔のファミコンとかでもそういう基本形はちゃんと入ってるし、学ぶべきことがいっぱい詰まっているような気がします。真面目な文章書いちゃったので腹筋します。

Lv.18 シナリオが書けません。



ゲームプランナーのお仕事は、とにかくいっぱいあります。企画考える、経営者にプレゼン、PL書く、仕様書作る、会議開く、説明する、制作進行管理、外注の発注書作成と管理、シナリオ作成、ゲームデータ作成、レベルデザイン、デバッグ仕様書、デバッグ、他部署との連携、予算管理、プロモーション企画、運営。やることが多すぎて、どれも完璧にこなせる人なんていないと思います。

僕はさすがに10年ぐらいやってるので大体のことは経験してきましたし、そこそこのことが出来るようにはなったつもりではいますが、いつも絶対にお断りしているお仕事があります。シナリオです。お話自体もそうだけど、世界観設定とか、キャラの名前とか、そういった文芸的なところは、自分よりも遥かに詳しい人が周りには沢山いるからです。

例えば西洋ファンタジー物をやろう!となった時、ドラクエやFFしかやったことの無い人(ゲームでしかファンタジーに触れてない人)がやるべきではないと思うんです。中世ヨーロッパの歴史とか、北欧神話とか、そういうルーツを知らないで作った人のゲームなんて薄っぺらいから、きっとやろうなんて思わないからです。うん、僕は詳しくないんです。戦国時代も三国志も野球もサッカーも競馬も詳しくないです。

当然仕事で必要に迫られた時には一生懸命勉強しますが、それでも心から好きな人に追いつけるわけもないので、すぐに見抜かれる程度の付け焼き刃な知識でどうにかしようとするのは間違いだと、自分の中で決めているのです。その代わりと言っちゃあなんですが、他のことなら俺に任せとけとは思います。そんななので、僕が世界観を考える時は歴史を元にせず、いつでも無茶苦茶な感じのものになります。

僕はほんの少し前まで、レベルデザイン(ゲームバランス)も大の苦手でした。でも、ゲームプランナーとして二つも苦手な物があるのはいけないな、と思った時があったので、ここ数年は一生懸命レベルデザインについては勉強しました。というか、運営型のゲームをやっていてレベルデザインが苦手ですって言ったら、売上なりユーザー満足度を作れませんって言ってるのと一緒ですから。今ではちょっとだけ、自信がつきました。

で、ちょっと前のお話。最近人気ゲームをどんどん出しているメーカーの経営者のかたとお話をする機会がありました。本人が言っていたのですが、「役職は偉そうに見えるけど、今でもゲームのシナリオやデータを作っている。」と。周りの若手が苦手意識なのか恥ずかしいのか、ぜんぜん作ってくれないんだそうです。組織的な動きで言えばシナリオが得意な人をとっとと雇えばいいじゃん!とは思うものの、その時の僕は「よくやるなー。」と変に関心してしまいました。どう考えても僕なんかより毎日がクソ忙しい人のはずなのに。

そんなこともあってか、相変わらずシナリオは苦手なんだけど、どこかでアホみたいに勉強しようと思う火がついたのです。実際にシナリオを将来やるかどうかは別として。そんなわけで、最近は古いお話をたくさん読もうと思って、少しずつ地味に実践してたりします。特にオチ無し。

Lv.15 たまにはKPIとか



今回はソーシャルゲーム等を運用する際に必要になってくる「KPI」について、好き勝手に書きたいと思います。

これからゲーム業界を目指すかた向けに説明すると、ソシャゲをプレイしている時に裏側で取得される、様々なパラメータのことを言います。今日は何人遊んでくれたとか、何人が課金してくれたとか、大体平均何日ぐらいでユーザーが飽きてしまうとか。そういった様々なユーザーの動向を色々な値で取得、分析することで、どうすればもっと数値が改善されるのか、売上に繋がるのか、次のアップデートやイベントはどんなものにするべきかなどの指標とすることができます。

実にたくさんの分析値があるのですが、その中でも特に個人的に重要視している物だけをテケトーに紹介したいと思います。また、昨今色々な会社さんで気にされてる数値でも、個人的にはどうでも良いと思っている値についても言いたいなと思います。

継続率
プレイヤーがゲームを初めてプレイしてから、何日ぐらい継続して楽しんでくれているかを指します。 例えば今日100人が登録して、7日後には20人しかプレイしていなかったら、「7日後継続率20%」となります。ただ、この継続率というのは会社によって計算のしかたがマチマチなので、一見あっちの会社からは物凄く良い数字が聞こえてきたりなんてこともあったりして、比較参考としてはアテにならないなと個人的には思っています。3パターンぐらい紹介。

1・登録日からたまたま7日後にログインしていた人の割合
2・登録 日から連続で7日間ログインしていた人の割合
3・継続率ではなく、残存率で見る場合

1は先に説明した、一般的に継続率と言うと一番多いパターンかもしれません。初日にゲームをプレイして、たまたま何日目かにログインできなかった。でも7日目にはまたログインしていた。こういう場合は1です。2は、ゲーム初日から「毎日続けてログインしてくれたユーザーの割合」です。当然ながら1よりも低い数値が出来るケースがあります。低いから悪いということはなく、「いかに熱中してくれているか?」を図るという意味では、2の方が断然良いような気もします。3は、1とか2を逆の視点から見てるだけですが、「平均x%のユーザーが残ってくれる。」と見るよりも「平均x%のユーザーが脱落してしまう。」と見たほうが、何故脱落しているのかという観点で改善施策を考えられそうなので、個人的には3が良いと思っています。

また、説明では7日間でお話していますが、個人的には「前月残存率」「前々月残存率」というように、ユーザーを二ヶ月ぐらいのタームで見るようにしています。と言うのも、継続率なんてものはキャンペーンをやったり広告をかけたりすることで、平気で上下動する頼りない数字だからです。それらを解決するためにFQ5とか言う数字の見方もありますが、僕は面倒なので見ません。一週間プレイしてくれた、やったー!とぬか喜びをするよりも、二ヶ月三ヶ月と長期にゲームを楽しんでくれるユーザーを増やすためにどうするか、をちゃんと考えて、その中にゲーム開始当日や3日後、7日後までモチベーションが維持できる状態を逆算して作っていくというのが本来のような気がします。いや、知らんけど。

課金率
ゲームをプレイしてくれているユーザーの中で何%の人が課金してくれているかを表します。100人がプレイしていて、5人が課金してくれている場合は5%となります。一日単位で見る場合もあれば、月単位で見る場合もあります。概ねどこの会社でも重要視する傾向がありますが、この値も広告やキャンペーン等でたくさんの人が一度に登録してくれた場合などにブレやすい"相対値"なので、僕はほとんど見ません。それよりも「課金ユーザー数(PU)」で見た方が"絶対値"なので、多いか少ないかが分かり易いですし、その値次第でどんな施策を打てば良いのかが考えやすいと思っています。

課金率と同時によく見る値として「ARPPU」 というのがあります。例えば月の売上が5千万円だとして、月の合計課金ユーザー数が1万人だったとします。そうすると「50,000,000÷10,000=5,000」となり、月のARPPUは5千円になります。PUとARPPUを相対的に見ることで、課金ユーザーの体質やサービスの健康状態を見ることができます。

PU多い、ARPPU低い =課金率が高いので、売上が安定しやすい。さらに課金率が安定する、もしくは現状よりもARPPUの上がる施策を考える。

PU少ない、 ARPPU高い =コアなユーザー層が多い。初心者とのゲームバランスが極端に離れている可能性がある。もしくは長期的にサービスを続けているために起きている。PUが増えるための施策を考える。

ざっくりとはこんな風に見ています。また、個人的には「合計PUが何人か」よりも、月の頭から月末にかけて、PUがどのぐらいの速度で増えているかを「積上PU」という形でよく見ます。1日目に100人で、2日目に他のユーザーが50人課金、3日目にまた別のユーザーが70人課金、としたら、3日目の時点での積上PUは220人です。この速度を追うことで、今月の目標売上に対して大丈夫そうかどうかがなんとなく分かるようになります。また、その数値次第で月内に新しい施策を行うかの指標にもまります。 

それと同時に、当日のPUの中に「このゲームに初めて課金したユーザーが何人いるか。」 もよく見ます。今日のPUが100人だとして、そのうち新規PU30人といったふうな感じです。新規PUが少ない=古いユーザーしかいない、または最近ゲームを始めたユーザーは課金をしたいと思っていないというように捉えられるので、改めてゲーム全体を見渡して、新しいユーザーでも課金したいなーと思うようなアイディアを考えることになります。

他にも色々な数値があるのですが、僕は大体↑の値以外は補助的には見るとしても、さして重要視はしていません。端的に言えば「継続率=ユーザーからのゲームの面白さに対する評価」「課金率、ARPPU=ユーザーがお金を払いたいと思う価値があるかどうか」なので、この二つを見ることは、「ユーザー(楽しみたい)」と「会社(売れたい)」 という単位で考えるためには一番シンプルな見方だと思っています。

「課金率高いよねー、低いよねー」とか、どこと比較しての根拠だよみたいな、実際は数字があまりよく分かっていない人や、変にあれこれCPAだのLTVだの色んな数字に踊らされてしまう人がたまーにいますが、頭が良すぎて結局アホじゃん、と静観してます。結局のところ数字というのはユーザーのみなさんがゲームをプレイした時に感じた「気持ち」が「行動」になって、その結果がたまたまログとして残っているだけに過ぎません。意味もなくたくさんの数値を見て「俺、分析してるわー。」と自己満足にひたるよりも、なるべく単純に見た方がゲームの面白さを考えることに集中できるよね、というお話でした。

ゲームプランナー志望ですって言って、ラノベ見ながらシナリオ書きたい(それ以外は興味無い)と思っているようなかたは、ゲームをお仕事にするにはこんなことも必要なんだなーと思ってくれると嬉しいです。かしこ。

Lv.12 プロデューサー、ディレクター、プランナーの違い(後編)



こんばんは。まだろくにPVも無い夜のお供ブログです。そんななんで基本言いたい放題です。(今回も長め)

今日は”課金型ゲーム”を作る時に重要な「開発と運営」 について雑にまとめたいと思います!←

まだゲーム業界に入っていないかたにはイメージが湧きにくいお話かもしれませんが、スマホやパソコンの課金型ゲームの場合、ゲームを作り上げる「開発チーム」と、売り上げ作りやユーザーサポートを行う「運営チーム」があります。最近では2chやTwitterなどでも、プレイヤーが「運営さん」とか「クソ運営」とか言っているので、わりとユーザーの中でも常用語になってるのかな?と思います。

開発チームというのは、ゲームプラン、グラフィック、イラスト、アニメーション、プログラム、サウンドという、ある意味分かり易い職人達の集まりです。片や運営はというと、実は開発なみに色んな人がいます。それを今回はダーッと適当に書きますよ。

プロデューサー
ゲームのプロデューサーのことです。前回のブログで説明した中ではディレクターとプランナーと並べて説明していましたが、業界的に言うと「人と物と金を集める人」的な意味合いもあり、大規模なプロジェクト人数の場合は運営寄りに動いている場合が多いのではと思います。ともあれプロジェクト的には一番偉い人かな、知らんけど。

運営プランナー
あれ、ここにもプランナーあるやんけ!と思うかもしれませんが、大規模な場合は「開発のプランナー」と「運営のプランナー」が分けられている場合もあります。開発プランナー=ゲーム企画、仕様書、ゲームデータ作りあたりをやって、運営プランナー=ゲーム内のイベントやキャンペーンの運営をやる感じでしょうか。 日々イベント等をやって、お客さんが喜んでいるか、どうやったらもっと盛り上がるか等を考えている、結構大切なお仕事です。ガチャの確率設定とかもしたり、パソコンのMMOなんかに出てくる「GM(ゲームマスター)」なんて役割もこなしたり、昔のゲームだったらゲームの最新情報メルマガを書くのもここらへんかと。知らんけど。

カスタマーサポート
ゲームを遊んでいて困ったことがあった時に、メールでお問い合わせをすると思います。 それを確認&対応するのが、このカスタマーサポート(CS)です。課金したのに反映されてないーとか、ゲームのデータが無くなったーとか、ガチャの確率絞りすぎだろ氏ねーとか、毎日ユーザーさんの色んな声に対応するタフネスさが求められるお仕事です。送られてきた質問や問い合わせを他チームと共有し、ゲームをより安心して楽しんでもらうための改善提案をする、なんてこともします。

マーケティング
ゲームタイトルそのものに直接関わるというよりは、今のゲーム市場で、どんなジャンルや世界観のゲームが売れてるのかとかを分析するような人達です。一つのプロジェクトに対して専任でやっているというよりも、他の部署として複数のプロジェクトを横断的に色々やっているケースが多いかと思います。この人達がいることで、自分達が作ったゲームが今市場に出した時にタイミングやクオリティ的にイケてるかの判断をしてくれたりもします。ともあれ世の中の動きをジーッと観察してチャンスを見つけるという、開発の職人達にとっては嬉しい影の味方だと思いますよ。

プロモーション
作ったゲームをあっちこっちに宣伝する人達です。みんながよく見る2chまとめ等のサイトに広告を出向したり、ゲーム雑誌のコラボ企画を考えたり、リアルなイベントを立ち上げてゲームの外側から盛り上げたりしてくれます。広告も「ABテスト」という物をやったりしながら効果測定と改善をするなんてこともしてくれます。プロジェクトの規模に寄ってはプロモーションの予算が限られているので、その中で工夫して、できるだけたくさんの人に「面白そう!」「やってみたい!」とお客さんに思ってもらうという、頭を使うお仕事です。

ウェブ
ゲームの公式ページだったり、運営情報ページ、公式ブログ、Twitterなんかもやってる人達です。ゲームを遊んだことが無い人向けには「面白そう!」と思ってもらうようにサイトをカッコよく作ってくれます。ゲームをすでに楽しんでくれてる人達向けには、ゲーム内の最新情報や、ユーザーがもっと盛り上がるようなイベントページなどを作っていたりもします。ともあれウェブ屋さんのおかげで、ゲームをしていない時でも最新情報をすぐにキャッチできたりもするので、とってもいい人達です。(適当

データマイニング
みなさんが普段ソシャゲとかを遊んでいる時に、裏側では実はメチャクチャ色んな情報を取得しています。今日は何人ゲームに登録してくれたとか、何人課金してくれたとか、ゲームが何日ぐらいで飽きられているかとか。そいうったゲーム内の各種数値を分析して、どこを改善すればもっと売り上げが上がるのか、ユーザーさん達に長く楽しんでもらえるのかを考えるお仕事です。一つのゲームだけを分析しているケースは少なく、他にも色んなゲームをプレイしたり、数字を分析して、より精度の高い改善施策を考えます。

と、大体こんな感じが運営チーム(寄り) の人達じゃないでしょうか。意外とゲームって裏にはいっぱい職業があるんですね!←

↓まだけっこう続きますよ↓
キャプチャ


オマケ「開発vs運営」
すべての会社やプロジェクトに言えることではありませんが、開発チームと運営チームの仲が悪いことはよくあります。お互いゲームがヒットするために何かしらを一生懸命やっているという点では変わりませんが、各々が優先したいことや目線が違うために、よくケンカになったりもすると思います。

運営「ここの数字が超悪い!改善しよう!こういうシステムを入れてくれ!いついつまでに!」
開発「ボケ!他にも色々やってる中でろくに仕様も書かねーで適当に日限切ってんじゃねーよ!」
運営「そうやっていつも出来ない出来ない言ってさー。結局お前ら何なら出切んの?」
開発「じゃぁテメーがゲーム作ってみろやヴォケクサッ!!!」
運営「じゃぁオメーは数値分析(ry」
開発運営「オメーがオメーがっ!!!」
「わぉっ」

みたいな不毛な感じの争い。これは運営が悪いとか開発が悪いとかじゃなくて、プロデューサーやディレクターのまとめ方がイケてなかったり、組織バグをほったらかしにしているマネージャーとかが悪いと、個人的には思ってます。 ケンカしている暇があったら仲良くしましょう。開発は特に運営を他人だと思う傾向があるので、コミュ症アピしてる暇があったら運営のかたをランチに誘いましょう。運営も開発の人達をただの道具だと思う節があるので、人間なんですということをちゃんと認識したコミュニケーションを取りましょう。

↓まだ続くんじゃ↓
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雑なまとめ
そんなわけで、こんなにたくさんの人達がゲーム作りには関わっています。自分の仕事ばかりに気をとられて、他人が理解できないような態度でいるよりも、「自分が出来ないことを一生懸命やってくれてる人がいる。」 と考えれば、もうちょっとピースフルなプロジェクト運用が出来るんじゃないでしょうか。新しい世代のゲームクリエイター候補のみなさんには、そんな素敵なチームワークで面白いゲームを作ってもらいたいなと思いますよ!

Lv.5 企画を”スーパー化”する



スマホとかパソコンの課金型ゲームをお仕事をたくさん経験していると、時々こういうことがあります。

「さて次の大幅アップデート、何を実装しようか?」
「やっぱレイドっしょ。」


僕は正直あんまりこんな感じの会話が好きではありません。色々なタイプのソーシャルゲームをプレイされているかたなら分かると思いますが、フレンドやらギルドやらPvPなんてソーシャル的な要素を、たくさんのゲームで体験すると思います。何故それが入ってるのかと言えば、ユーザー的に言うと「面白いから」、作ってる側からすると「売り上げが立つから」 という単純な話ですし、それ自体を否定することはありません。

僕が嫌だなーと思うのは、KPI考察とかもせずに、なんも考えないで提案しているように思える、もしくは自分が好きなゲームシステムを言いたかっただけのように聞こえる時があるからです。当然本人がそう考えているかはまた別の話ですが、「ちゃんとこのゲームにマッチしているか?より多くのユーザーが求めてくれるか?」ということが、ないがしろにされているように感じてしまうのです。

例えばピースフルな農園系のゲームに、PvP(ユーザー対戦)は合いません。いきなり人の畑に乗り込んで農作物を荒らし、家畜を血祭りにし、納屋を燃やすなんてゲームでは、ぜんぜん農園系っぽくありません。(…でも面白そうですね……)  どう考えてもPvPとかGvGは、RPGや戦争物などの”バトルがある前提のゲーム向き”だということが分かると思います。

じゃあバトル系のゲームだったら入れれば良いのかというと、そうでもありません。一人でまったりするのが好きなユーザーだってたくさんいます。現にメガヒットしたパズドラにはギルドだとかGvGだとか、複雑なしがらみを考慮した要素はほとんどありません。

良いか悪いか、という結論にはまったく興味がありませんが「もし入れるのであれば」、ユーザーが最大限楽しんでくれるように、より工夫をすべきですし「マッチしないようであれば」、入れなければ良いだけだと考えています。

それを前提として「実際に入れることになった」としたら?ここからが個人的には大事だと思っています。先ほどの「ギルド」を入れることになったとしましょう。ざっくり言えばユーザー同士を特定のグループにして、グループの仲間同士で一緒にゲームで盛り上がろうということだと思います。

当然ゲームシステムとして詳細に落としていくためには、ギルドはどうやれば結成できるのか?ギルド結成の条件にレベルなどの制限を設けるのか?ギルドには何人まで参加できるのか?参加するためにはリーダーの許可が必要か?そもそもギルドに参加すると、どんなメリットがあるのか?など、細かい要素をちゃんと考えなければいけません。

まぁそんなのはお仕事なので当たり前として、 ここで言いたいのは「そこらへんで見たシステムをそのまんま持ってきて、ほんとに大丈夫?」と言うことです。あっちのゲームではすごくマッチしているかもしれないけれど、こっちのゲームでは少しアレンジが必要かどうかを、一回ちゃんと考えようということです。

例えば、「ギルドを結成する→レベル20にならないと出来ない」というケース。すでに二つめんどくさいです。自分で結成しなければいけないめんどくささ、レベルを上げないといけないめんどくささ。もっと言えば結成した後は一生懸命他のユーザーを勧誘しなければいけないわけです。勧誘したのに参加してくれない、逆に誰からも勧誘されない。なにそれダセェ、どっちらけじゃないですか!!!

では、そのめんどくささをクリアした形でギルドというゲームシステムを作ることはできるのか?ここを常にちゃんとユーザーに合わせて考えるようにすることが、ゲームプランナーにとって何よりも大切だと思っています。例えば月曜の朝に、ゲームを遊んでいるユーザーの中からランダムに7人組が作られて、今週一週間は仲間としてプレイするという仕組みにしてしまえば、結成とかレベルキャップとか勧誘とか、そんなめんどくさいことはしないで済むわけです。そして一週間経ったたら自動解散、また新たなギルドが自動結成されれば良いのです。(実際にFINAL FANTASY BRIGADEであったシステム)


要するに、「1・何か新しい要素を入れよう!→2・既存のあのシステムが最近流行ってるみたい!→3・ちゃんとこのゲームないし、このゲームのユーザーにマッチさせよう、アレンジしよう!」という「3」の流れを必ずやりましょうね、というお話です。

長々と書いた手前アレですが、僕はこの3のことを「スーパー化」と言っています。フレンド機能ではなく、スーパーフレンド機能!!!ログインボーナスではなく、スーパーログインボーナス!!!ギルドではなく、スーパーギルド!!!決して余計なものを付け足すことを指しているのではなく、「どうすることでよりたくさんのユーザーが魅力的に感じてくれるか?」を考えることが大切です。

この「スーパー」の部分を日々ちゃんと一生懸命考えることで、より良いゲームシステムや、ユーザーにとってより気持ち良い体験に繋がっていくのではと思っていまーす。

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