スマホとかパソコンの課金型ゲームをお仕事をたくさん経験していると、時々こういうことがあります。

「さて次の大幅アップデート、何を実装しようか?」
「やっぱレイドっしょ。」


僕は正直あんまりこんな感じの会話が好きではありません。色々なタイプのソーシャルゲームをプレイされているかたなら分かると思いますが、フレンドやらギルドやらPvPなんてソーシャル的な要素を、たくさんのゲームで体験すると思います。何故それが入ってるのかと言えば、ユーザー的に言うと「面白いから」、作ってる側からすると「売り上げが立つから」 という単純な話ですし、それ自体を否定することはありません。

僕が嫌だなーと思うのは、KPI考察とかもせずに、なんも考えないで提案しているように思える、もしくは自分が好きなゲームシステムを言いたかっただけのように聞こえる時があるからです。当然本人がそう考えているかはまた別の話ですが、「ちゃんとこのゲームにマッチしているか?より多くのユーザーが求めてくれるか?」ということが、ないがしろにされているように感じてしまうのです。

例えばピースフルな農園系のゲームに、PvP(ユーザー対戦)は合いません。いきなり人の畑に乗り込んで農作物を荒らし、家畜を血祭りにし、納屋を燃やすなんてゲームでは、ぜんぜん農園系っぽくありません。(…でも面白そうですね……)  どう考えてもPvPとかGvGは、RPGや戦争物などの”バトルがある前提のゲーム向き”だということが分かると思います。

じゃあバトル系のゲームだったら入れれば良いのかというと、そうでもありません。一人でまったりするのが好きなユーザーだってたくさんいます。現にメガヒットしたパズドラにはギルドだとかGvGだとか、複雑なしがらみを考慮した要素はほとんどありません。

良いか悪いか、という結論にはまったく興味がありませんが「もし入れるのであれば」、ユーザーが最大限楽しんでくれるように、より工夫をすべきですし「マッチしないようであれば」、入れなければ良いだけだと考えています。

それを前提として「実際に入れることになった」としたら?ここからが個人的には大事だと思っています。先ほどの「ギルド」を入れることになったとしましょう。ざっくり言えばユーザー同士を特定のグループにして、グループの仲間同士で一緒にゲームで盛り上がろうということだと思います。

当然ゲームシステムとして詳細に落としていくためには、ギルドはどうやれば結成できるのか?ギルド結成の条件にレベルなどの制限を設けるのか?ギルドには何人まで参加できるのか?参加するためにはリーダーの許可が必要か?そもそもギルドに参加すると、どんなメリットがあるのか?など、細かい要素をちゃんと考えなければいけません。

まぁそんなのはお仕事なので当たり前として、 ここで言いたいのは「そこらへんで見たシステムをそのまんま持ってきて、ほんとに大丈夫?」と言うことです。あっちのゲームではすごくマッチしているかもしれないけれど、こっちのゲームでは少しアレンジが必要かどうかを、一回ちゃんと考えようということです。

例えば、「ギルドを結成する→レベル20にならないと出来ない」というケース。すでに二つめんどくさいです。自分で結成しなければいけないめんどくささ、レベルを上げないといけないめんどくささ。もっと言えば結成した後は一生懸命他のユーザーを勧誘しなければいけないわけです。勧誘したのに参加してくれない、逆に誰からも勧誘されない。なにそれダセェ、どっちらけじゃないですか!!!

では、そのめんどくささをクリアした形でギルドというゲームシステムを作ることはできるのか?ここを常にちゃんとユーザーに合わせて考えるようにすることが、ゲームプランナーにとって何よりも大切だと思っています。例えば月曜の朝に、ゲームを遊んでいるユーザーの中からランダムに7人組が作られて、今週一週間は仲間としてプレイするという仕組みにしてしまえば、結成とかレベルキャップとか勧誘とか、そんなめんどくさいことはしないで済むわけです。そして一週間経ったたら自動解散、また新たなギルドが自動結成されれば良いのです。(実際にFINAL FANTASY BRIGADEであったシステム)


要するに、「1・何か新しい要素を入れよう!→2・既存のあのシステムが最近流行ってるみたい!→3・ちゃんとこのゲームないし、このゲームのユーザーにマッチさせよう、アレンジしよう!」という「3」の流れを必ずやりましょうね、というお話です。

長々と書いた手前アレですが、僕はこの3のことを「スーパー化」と言っています。フレンド機能ではなく、スーパーフレンド機能!!!ログインボーナスではなく、スーパーログインボーナス!!!ギルドではなく、スーパーギルド!!!決して余計なものを付け足すことを指しているのではなく、「どうすることでよりたくさんのユーザーが魅力的に感じてくれるか?」を考えることが大切です。

この「スーパー」の部分を日々ちゃんと一生懸命考えることで、より良いゲームシステムや、ユーザーにとってより気持ち良い体験に繋がっていくのではと思っていまーす。