ゲームプランナーのお仕事は悶絶たくさんあるわけですが、中には細かすぎてめんどくせーわりに結構大切なものもあります。その中の一つに「ラベリング(文言設定)」というのがあります。会社によって言い方は違いますが、簡単に言うと「ゲーム内用語の統一表記を決めましょう。」という話です。

例えば「このゲームではセーブデータのことを、”冒険の書”と言いましょう。」とか「ガチャのことを”召喚”と言いましょう。」と言ったように、ゲームの中で使われる言葉をちゃんと決めて、世界観の演出であったり、日々作る資料内でもその言い方をしましょうね、的な物を作ります。

昔のゲームではわりと当たり前だった気がしますが、最近のソーシャルゲームなどでは人手が足りない、コンシューマ時代の人ではないためそもそもその文化が無いなどの理由から、ラベリングをしていないプロジェクトもあります。

しかし、これがやっていないとめんどいことになりがちです。例えば上述のガチャのことを召喚と言いましょう。と言っているのに、資料などでちょいちょい「ガチャ 」と表現していたりすると、ユーザーさんへお見せするお知らせなどでも、つい「ガチャ」と表記してしまったりするケースもあります。そうすると、「え、説明にはガチャって書いてあるけど、メニューのどこにもガチャなんて無いよ?」みたいなことになります。

そんなに致命的な問題じゃないからいいじゃん、と軽く見がちなかたもいるかと思いますが、僕はそう思いません。例えばコンビニなどではお客さんが去る時に「ありがとうございました。またお越しくださいませ。」などと言うと思います。でも、これって病院や薬屋さんでは基本言いません。「お大事に。」と言います。何故でしょうか?また来てね=病気しろ、怪我しろ、という意味になるからだと思います。

他にも、ディズニーランドでは、お客さんのことを「ゲスト」、スタッフのことを「キャスト」と言っています。これは、魔法の国を楽しんでもらうのだから、商売っ気を感じる言葉は絶対に使わないようにしましょう。というサービスの一つとして考えられているからです。

で、ゲームを作る僕らとしても、そういったことは日々考えるわけです。「セーブデータ」と「冒険の書」では、同じ物を指していても、雰囲気がぜんぜん違うと思います。MOTHER2とかだと「はなす→パパ」みたいな。こういった世界観に合わせた言葉を設定するということは、1ミリでもユーザーにその世界を楽しんでほしい、のめり込んでほしいという、クリエイターの想いだったりします。

だから、安易に「セーブ」という言い方をしても良い場合もありますが、どうせなら世界観にマッチした言葉を選びたいわけです。実際に現場では、「◯◯◯のことを、このゲームではなんと言おうか?」と、たくさんのアイディアを出すケースもあります。何個も何個も出していくうちに、「これだ!」というものが出る場合もありますし、いつまで経ってもしっくり来ない場合もあります。

当然「セーブ」という言葉自体はゲームユーザーなら誰でも知っているような”常用語”なので、それを意として使う場合は良いのですが、なんも考えずに「マイページ」とか言っているゲームなんかを見ると、ちょっと寂しい気持ちにもまります。ブラウザゲーでもないのにマイページ。せめてそこは「ホーム」だろっ!!!

そんな感じで一生懸命名前を考えるわけですから、当然それをユーザーにも浸透させたいわけですし、現場でもその用語を使って会話をしたいわけです。かといって後から入ってきたメンバーに「タイトル専門用語」 をすべて理解してもらうのも大変なので、そのためにも「ラベリング=そのゲームの用語集」を作ることが、とても大切になってきます。

それさえあれば、ユーザーに向けて言葉を使う時、スタッフ同士で会話をする時、相手に説明する時、どんな場合でも共通の用語として使うことができます。ソーシャルゲームなどではどんどん新しいシステム追加などがされるため、日々ラベリングも追加更新していく必要がありますが、むしろ早い段階から用意しておかない=どんどん新要素が増えていくため、企画開発の段階からこういうのは用意しておいたほうが良いと想いますよ。

まとめ
1・そのゲームに合った言葉を選ぶ
2・↑でユーザーのワクワク感を最大化
3・用語集作っておくとみんな幸せ!

現場からは以上でーす。(・ω<)