クソブログも、質はともあれ結構なエントリー数になりました。以外と続くもんですね。

今日は少しだけレベルデザインのお話を自分なりに。レベルデザインっていうのはゲームにおける「ゲームバランス」であったり「難易度設定」のことを言う場合がほとんどです。敵の強さだったり、弾の数だったり、複雑さだったり。

ほんで、コンシューマに限らずスマホのソーシャルゲームなんかでも、当然ながらレベルデザインというのは行っています。例えばプレイコストだったりイベントランキングの報酬内容だったり閾値だったり、ガチャの排出率なんかもそうですね。で、むしろソーシャルゲームのほうが「レベルデザイン=売上」に直結するようなもんだから、いい加減なことはできないという点で、現代のゲームプランナーの中でも必須スキル化しているようなところもあります。 

まだ業界の経験が無いかたなら良いですが、現役で「ちょっと数字は苦手で…」と言ってるような人は、結構どこかで真剣に勉強しないといけないと思います。僕はソシャゲが流行る前のPCオンラインゲームが人気だったころにそこらへんは上司に嫌ってほど叩き込まれたので、わりと昨今のお仕事はやりやすいかなぁと思っていたりします。

前置きはこれぐらいとして、レベルデザインにおける「イケてる状態、イケてない状態」というのはどんな感じでしょうか?ゲームバランスというものは正解があるようで無いようであるようで、と言っためんどくさい性質の物なので、マニュアルらしいものが作りにくいというのが難点です。

例えばアクションゲームがステージを進めていくうちに、どんどん難しくなるのは想像がつきやすいと思います。RPGなんかでも、後から出てくる敵のほうが強力ですよね。でも、「それだけ」でしょうか?単純にステージや敵が強くなっていくだけなら、変な話新人でもできちゃいそうな気がしますよね?でもなんか、そんなんでもないっぽいんですよね。 多少の抑揚は必要でしょう。そこらへんも自著ではわりと簡単にですが書きました。 でも、やっぱりそれでもまだ足りないんですよね。なんなんでしょうね。

ソーシャルゲームなんかでは、ぶっちゃけユーザーに対して「どうやって喉が乾いた状態を生み出すか?」というのが主眼になっていたりします。例えばガチャで可愛いキャラクターが登場して、「この娘欲しい!→でもガチャだと出ないかもな…今月お金が…→え、初回半額?→しかもオマケもついてる?→その上今ならゲット率xx倍!?!?→だけど本日限り!!?!?!?!」というように、欲しいけど届かないけど届きそうだけど欲しいけど、という状況をいかに作るかに対してアレコレ小細工を考えていたりします。

あと、こうやって「複数の判断材料をポイポイ投げる」ことで、判断力を鈍らせるというのも、ソーシャルゲーム全盛の頃から脈々と続いているように思います。「射幸心を煽り」とかっていうアレですね。特にこれはゲームに限ったことではなく、「今ならポイントxx倍!」とか「長期契約なら月額料金割引!」とか、色んな商売でもやってますよね。深夜の通販番組とかね。携帯電話の料金設定、あんなに無意味に複雑なもの、一体誰が得するんでしょうか。(胴元でしょうけど

で、良いか悪いかは別として、レベルデザインにおいてもこの「喉が乾いた状態」という意識を知っているかどうかで、最後の出来栄えがずいぶん変わってくるように思います。アクションゲームなんかでも「あれ、ジャンプしてもこの段差届かない→どうやったら登れるんだろう?」という状況があったりしますよね。それがいわゆる「喉が乾いた状態」です。それに対して、「あ、あんなところに木箱がある→(アレをここまで持ってこれたら、登ることができるかも?)」という状態が「水が飲めるかもしれない状態」になります。

木箱を運ぶ方法をすでに学んでいるのであれば、「確定で水が飲める状態」ということになりますし、まだ方法を知らないのであれば、「新たに喉が渇いた状態」だということになります。で、木箱を運んで段差を登れた。ここが「喉が潤った状態」ですね。ゲームでいうところの達成感であったり、気持ち良いポイントになったりします。こうやって屁理屈で並べていけば、レベルデザインそのものはそんなに難しくはないように感じるんじゃないかな?と思います。

ただ、上述のようなことを考える「そもそも」のこととして、「なんで段差を登らせだかったの?」という部分がすっぽ抜けていたら、まったく意味がありません。段差の上には何があるでしょうか?便利アイテムが置いてあるかもしれないし、広大な景色が広がっているかもしれないし、可愛い女の子が立っているかもしれません。もしかしたら何も置いてないかもしれない。で、そこに辿りつけたプレイヤーは「一体どんな気分」になるでしょうか?もっと言えば、そこに辿り着くまでのプロセスにおいても、「どんな気分だった」でしょうか。

ここが僕的には「レベルデザインの本質」だと思っています。 レベルデザインというのは、前述のような数値設定や敵の配置、複雑な要素で判断力を鈍らせるというのは、あくまで小手先のことであって、本来のレベルデザインというのは「ユーザーの心のデザイン」だと考えます。

「ここで学習してもらおう」
「ここでビックリさせよう」
「ここで悔しい思いを一回させておこう」
「ここで達成感を盛大に祝おう」


と言うように、何かしら作り手が仕掛けた物に対しては、この「どう思わせたいか?=心のデザイン」が先にできていなければ、それ以外の小細工は全て役に立ちません。 逆にそこさえちゃんと抑えていれば、その心のデザインに対して、色んな方法やアイディアが浮かぶ場面が多くなります。

実はこのレベルデザインというのは、ゲームプランナーのレベルデザインだけに限らず、ディレクターがチームビルドをする時や、プロデューサーがどんなプロモーションを打つかを考える時にも、とても役立ちます。もう少し端的に言えば、「自分が他人の心を動かす瞬間を考える。」というのがレベルデザインの本質だと思っています。

エクセルカチャカチャしてるだけでレベルデザインやれてると思い込んでいるような人は、もう少し広い視野でここらへんを突き詰めると良いような気がします。先ずは隣に座ってる人を一日三回でも笑わせることができれば、レベルデザインはそんなに難しいことではないような気がします。かしこ。~( :3 )<ネムーィ

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