なんだかよく分からないタイトルですね。一応自分なりに意味はあるので適当に。

ゲーム業界に入ってから今まで、本当に色々なお仕事をさせてもらいました。3Dのグラフィックデザイナーに始まり、UIやらアイテムのデザインやらをやらせてもらいつつ、ある時に「あぁ、このままデザイナーでいちゃ駄目なんだな。」と思ってからは、ゲームプランナーとしてのお仕事をずっとやってきました。

職種で言えばデザイナーからプランナーになったというだけのことなので、そんなに珍しい話でもありません。実際にプログラマーからプランナーになった人もいるし。デザイナーからプランナーになってまたデザイナーに戻った人もいます。

そういったこととは別に「仕事の仕方」というのも、職種以上にやりかたを変えてきた、もしくは変わってきたなと、特にここ数年感じています。

若い頃はとにかく技術も知識も先輩に勝てるわけ無いので、とりあえず作業スピードだけは意識しながらやっていました。これってどんな仕事にでも言えるんですけど、先輩や上司は一年目二年目に自分と同じようなスキルを求めていません。出来るわけ無いので。そうなると「頼んだ仕事を誰よりも早く、正しく仕上げてくれる。」ということ自体が、若いうちは評価に繋がりやすいからです。

当時は評価されるためにそうしていたわけではありませんが、自分なりに「5日かかる仕事を3日でやれば、残り2日でもっと良くできんじゃん!まぁオトク!」ぐらいの考えは持っていたように思います。

そういったようなことはある程度場数をこなせば、誰にでも身に付くものでもあったので、数年もしないうちに「次のフェーズ」に進むようになりました。それは「自分が頑張るんじゃなくて、周りの頑張りが生きるような状況を作る。」ということでした。

僕がゲーム業界に入って初めてやったプロジェクトは、長い期間生みの苦しみに耐えている状況でした。メンバーはいつまでこの状況が続くのかと、だんだん元気も無くなってきたり、時には殺伐とした空気になっていたりもしました。僕自身もまだ経験が無いなりに、その状況をどうにかできないかと考えていた時期です。そういった気持ちと、冷静に考えた時に「このプロジェクトのどこがいけないのか?」を掛けあわせた時に、「プランナーがしっかりしていないと、プロジェクトは右にでも左にでも転ぶんだな。」ということを強く感じました。

僕がプランナーになったきっかけは、実は最初からゲームプランナーになりたかったわけではなく、そういったネガティブな状況のプロジェクトが元だったのを、今でもよく覚えています。当時は考え方も若かったので「こんなおっさんよりも俺がプランナーやったほうが全然マシだ!」と息巻いていたので、半分は怒りでプランナーになったようなもんでした。

いざプランナーになってみると、当然ながら外側から見ていた以上に大変な仕事でした。こういう言い方もなんですが、デザイナーやプログラマーはある意味「オーダーが来て、その通りに仕事をやればいい。」という側面があります。方やプランナーは、その元となるオーダーの部分を、考えつつも作りつつも急ぎつつも、他のメンバーよりも先回りしてアレコレやらないといけない仕事です。

「え、仕様書って何?」「あのプログラマー、俺の資料に怒ってるんだけど、何が足りないの?」「あと何ページ作ればゴールなの?」「〆切はあるの無いの?」「取引先がいきなり追加オーダーしてきたけど、どうすりゃいいの?」

こんなことばかりでした。一応自分でプランナーになりますとデザイン上長に言った手前、毎日キツイなぁと思いつつも、そこでへこたれるわけには行きませんでした。必死こいて頑張ったおかげか、デザイン上長には「前よりも全然ゲーム面白くなった。」と言われましたが、いずれにしても商品と呼べるレベルには程遠い状況だったと思います。

最初に働いた会社が少人数だったということもあり、なんでもかんでもやらされていたのはキツかったけど、いざ転職して大きい会社に入って分業になった時には、「あれ、なんか仕事がスゲー楽だぞ。」という感覚がありました。自分なりに最初の修羅場を超えていたたのかもしれません。

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そこからは、やはり場数的に色々なプロジェクトでプランナーのお仕事をしていくうちに、物量をこなすのは別として、少しずつゲームプランナーというお仕事には慣れてきたので、以前のようなキツさは感じないようになりました。そして気付けば、自分にも後輩といえるような奴が近くにいたりして、いつの間にか自分は「教える側、引っ張る側」になっていたことに気付きました。

最初は「一緒に頑張ろうぜ!俺も負けないぐらい頑張るぜ!」みたいな感じで一緒に手を動かしていたんだけど、ある時「あぁ、それだと限界あるな。てか駄目だわ。」と思うことがありました。要するに、自分も一緒になることで後輩に対して「ほら、俺も頑張ってるよ」というのを見せたかっただけで「チームとしての成功は何か」ということとはちょっと違う動きをしてしまっていたんだと。もっと言えば後輩に認められたい=先輩として揚げ足取られないようにという、自衛的な動きをしてしまっていたような気がします。

それに気付いてからは、自分が手を動かすことよりも、現場に多少負担がかかったとしても、「チーム全体として、プロジェクト全体として正しい動き」になるようにという意識で、仕事をするようになりました。多分、ここらへんはディレクターやプロデューサーみたいな、プランナーの上位職になるためには、必要なスキルかもしれません。

まだ経験が若い子たちからすれば、「あのプロデューサーはいっつも仕事もせずに、一体何やってんだよ。」とか思う場合もあるかもしれませんが、意外とチームのためになるようなことを裏ではいっぱいやっていたりするので。(いつか気付いてくれたら嬉しいなぁ) 

で、そういうことが大事だなーと思ってからは、裏方と申しますか、影忍と申しますか。自分がなるべく目立たないように、物陰から手裏剣をシュパっと投げて、一撃必殺一件落着。金の分は仕事したぜ。って言っていつの間にか姿を消すような仕事のしかたがカッコイイと思っていました。あ、それがここで言うところの「ねずみ小僧」です。目立ってないけど仕事してます的な意味で。

若い頃は同じチーム同士でも、上司に対して「ほら、俺が一番頑張ってるでしょ?すごいでしょ?」みたいに、隙あらば自分が目立とうとしていたところ、多分あったと思います。でもそれって、やったとこでなんの意味も無いし、最終的にはチーム力でなんぼだもんな、と気付いてからは、随分と仕事が楽になりました。その頃からかなー。自分がどーのというよりも、後輩や部下に「成功体験させてあげたい」って思い始めたのは。最初の会社に限らず、結構不遇なプロジェクトに携わる機会が多かったのもあったかもしれません。

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で、ここ数年は「やっぱりそのやり方でも限界あるなー。」と思っていたんです。影忍的な仕事のしかたが自分の中では結構な期間、美学だと思っていました。オサレやん、みたいな。でもそれだと、自分が今までやってきた経験を伝えていこうと思った時に、アクションできる幅というか、量が小さいなと。

もっとゲームのお仕事に自分自身が熱中できて、なおかつ他の人にも良い影響を与えられるようにと考えるならば、影忍的論法じゃ多分駄目なんだ、もっと目立たないとかもしれない。少しずつそんな風に考えるようになってきました。ほんとにここ数年。

で、じゃあどうしようかと。目立つったって、Youtuberとか生主になろうなんて思わないし、それをやって意味があるとも思えない。でも「何処か目立つとこに自分から立つ必要はある。」と。そういうことも根底にはあったのか、ネットにスライドをアップしてみたり、ゲームプランナー本を書いてみたり、このブログを始めてみたりと、自分が今まで経験してきたことが誰かしらの役に立てればいいなー的な動きになっていきました。

僕自身ぜんぜん有名なクリエイターでもないし、誰もが知っている人気ゲームのプロデューサーをやったことも無いけれど、逆に考えれば「いつまでもそんなこと言ってたら、恐らくいつまでもやらない。」と思っていたし、それに気付いた時点で「他の人がやらないなら、俺がやればいい。」と吹っ切れたからです。日本人だと「いやー、僕なんかまだまだですよー。」とか「なるべく目立たないように、日々平穏に。いざこざには巻き込まれないように。」って人も多いし、僕の中にもそういう気持ちはあるんだけれど、少なくともゲームプランナーとして本気でやっていくんだったら、それじゃ駄目だと僕自身は思っています。あ、ここらへんが石川五右衛門ね。要するに、同じ悪党やるならコソコソやるより大胆にやれよ的な。

もっと言えば、というか言葉は悪いけれど、そうやって自分に無意味な制約をつけてる人って、本気でゲームの仕事をしたいとは思っていないんじゃないかなーと思っています。プロジェクトが悪い上司が悪い会社が悪いとか言いながら、かと言って状況を変えようと自らアクションするわけでも無く、でも会社を離れるわけでもなく。個人的にはそれで本気だって言われたらゲーム屋としては情けないと思うし、それは「ゲームという仕事に携わりたいだけ」なのかな、と思っています。

そういう人がいても良いとは思うけど、少なくとも自分以上に頑張っているような人達に対して自分は同等だなとか、俺もクリエイターだぞ!なんて思わないで欲しいなぐらいの想いではいます。言い方を変えれば、周りに自分よりも凄いなー、尊敬するなー、カッコイイなーって人がいたとしたら、技術や経験も去ることながら、そういった考え方や行動に違いがあるのかもしれません。いや、知らんけど。

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僕も言いたい放題は別に好きでもないし、それ自体が目的ではないです。どちらかと言うと、これからは自分自身が名前も顔も出して全ての発言や行動に責任を持ってやっていこうと決意したというか。そんなこともあって、ようやく自分の会社を作るって話なんですけど。前置きがクソ長かったね。もっと言うと会社の名前をずっと悩んでたので、決まってからブログでも書くかーぐらいの気持ちで書いたら、こんなんなっちゃった的な。

あ、で、会社の名前は「ゲームのチカラ」 にします。ほんとはもうちょっとオシャカッコイイ系の名前も考えてたんだけど、こっちのほうが何年経っても自分でちゃんと責任持ってやれそうだから。昨日だか今日だかに思いつきました。うん、でも多分大丈夫。

そんなわけで10月からはこの名前で頑張りまーす。
投資家のみなさん、無担保でお金貸してくださーい。(・ω<)bb

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